ここで、これまで紹介した日本の権利者とはうって変わり、YouTubeを積極的に利用している日本の放送局をご紹介しましょう。東京のUHF局である東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYOMX)は、情報番組「BlogTV」を放送後、YouTubeに自主的にアップロードしています。TOKYOMXではこのような形でYouTubeを利用する理由を、「これまで視聴可能エリア850万世帯を対象として放送していたコンテンツを、インターネット上に開放することで、東京圏以外に住む人や海外在住者の視聴も可能にします」(プレスリリースより)とコメントしています。東京キー局を中心にしたネットワーク各局と異なり、地方のUHF局は視聴エリアが県域に限られているため、出演者などの権利問題がクリアされれば、ネットを積極的に利用したいという面もあるのでしょう。そういえば、この放送局はYouTubeを利用する以前から、「談志・陳平の言いたい放だい」というトーク番組の過去放送分を、自社ホームページからビデオ・オンデマンドで無料閲覧できるサービスを行っていました。日本のテレビ放送局としては稀有な振る舞いと言っていいでしょう。個人放送をベースにした広告による、巨大な集金システムに生まれ変わるYouTubeの今後はどうなるのでしょうか。Googleとタッグを組むことで、新しい映像広告の仕組みが生まれるかもしれません。前述のように一部の既存メディア企業が、YouTubeという。個人放送局のプラットフォーム”の仕組みを、違法投稿を追認してまで自社利益のために利用しようとしているわけですから、この試みが成功してうまく機能し始めると、他のメディア企業も参加してくることは十分に考えられます。そうなるとYouTubeは、巨大メディアや既存コンテンツ企業にとって、ロングテール部分で利益を生む仕組みに変貌するかもしれません。そのときに活かされるのが、Googleの持つ広告のノウハウでしょう。Googleは「アドワーズ」「アドセス」という広告の仕組みで、検索キーワードから利益を生み出し、世界中のWebサイトを広告媒体に仕立て上げました。成熟産業とされ、それ以上の大きな成長が見込めなかった広告という分野に、インターネットの仕組みを巧みに利用した新しい市場を創設しました。このGoogleのノウハウや技術と、YouTubeをプラットフォームとした個人放送局の仕組みをうまく結びつければ、新しい映像広告の市場が生まれる可能性があります。また、巨大コンテンツ企業もそれを望んでいるはずです。というのは、彼らにとって、自社コンテンツを頒布して利益を上げることのできる販路は、多ければ多いほど嬉しいわけです。それがインターネットであっても、利益さえ上げることができれば、いっこうにかまわないはずです。YouTubeのコンテンツ認識技術、Googleのロングテール型広告ノウハウ、コンテンツ企業の思惑、これらが三位一体となって、YouTubeは個人放送局をペースにしたロングテール型広告による、巨大な集金システムに生まれ変わる可能性を秘めているのです。
[参考情報]
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