宝石用ダイヤモンドはもちろん工業用ダイヤモンドも用途に応じていろいろな等級に分けられます。色、傷などをみて宝石用にならないものが工業用ダイヤモンドとなります。ダイヤモンドが工業用に重用されるのは、地球上でもっとも硬い物質であることのほかに、熱伝導率の高さや耐酸性など、精密工業には欠かせない材料として使われているからです。結晶のまま使う場合もありますが、いろいろな大きさの粉末に砕かれ、ほとんどが金属の切削用具をとぐための研磨盤として使われます。さて、宝石用と工業用とに大別されると、宝石用ダイヤモンドはさらに細かく分類され、ロンドンの中央販売機構(ダイヤモンド=シンジケート)に送られます。価格は、ダイヤモンド=シンシジケートが一方的に決定し、特定の原石商だけが買うことができます。なぜ、ダイヤモンド=シンジケートに価格の決定権があるのかと思うでしょうが、これは、全世界の生産量の八割以上をシンジケートが握っているからできることなのです。これによって、ダイヤモンドの価格が安定するので、シンジケートは重要な役割をしています。原石商はシンジケートから買ったダイヤモンドの原石を各国の研磨会社に送り、そこでカットが施されるのです。シンジケートのような販売機構ができる以前はどのようにダイヤモンドの取り引きが行われていたのでしょうか。インドでは、掘り出したダイヤモンドを売買するのは、十歳〜十六歳の商人の子供たちでした。夜になると子供たちは買ったダイヤモンドを一つにまとめて、大商人のところに持っていき、全員同じだけお金をもらいました。ダイヤモンド商人同士の取り引きは無言で行われます。売り手と買い手がそれぞれ右手を出し、上から帯でおおってその下で価格が交渉されました。売り手が買い手の手全体を握ったら千ルピー、中指の関節からつけ根の半分をつかんだら五十、関節から指先をつかんだら十というようにして取り引きされました。売買において不正な取り引きがおこらなかったのは、国王から給料をもらっているはかり人のことを売り手も買い手も信頼していたからです。