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患者の自律または自己決定権

ずいぶん昔から、手術の前には「どんな結果になっても文句はいいません」というような、病院側に都合のいい身勝手な一札に患者が判を押すことを強要されることが多いようです。もっとも、こんな一札は法律的な効力はないようですが、とにかく生殺与奪の権を医者や病院に「おまかせ」して悔いない人が多いのでしょう。しかし専門家さんのいうように「からだは患者のもの」であり、医療はしたがって「患者のため」のものでなくてはならない上、医学は今日なお不確実性に満ち、相対的な真実への確率的接近であるという性格を残しているのですから、価値観の多様化した今日では、患者と医者との間で治療の目標と手段についての選択を異にする場合が珍しくありませんし、今日的な医療モデルでは医療者と患者とはパートナー関係にあるべきだと考えられますから、医療の場における患者の自己決定権を軽視あるいは無視することは到底許されません。今日なお、わが国では患者は本来無知であり、したがって患者の「最善の利益」を知るものは患者自身ではなく医者であるという建て前がまかり通っていますから、医者の「裁量権」が大幅に認められ、医事紛争の裁判などでもたかだが「医療水準」当時の医学界一般が行なっているところIが判断のよりどころになる場合が多いのです。つまり、どのような治療を施すべきかは一方的に医療側(医者個人でなくても)の判断にゆだねられるべきであるという考え方です。